ソーシャルブレインズ入門――<社会脳>って何だろう (講談社現代新書)
ソーシャルブレインズ入門――<社会脳>って何だろう (講談社現代新書)
strong>本, 藤井 直敬
ソーシャルブレインズ入門――<社会脳>って何だろう (講談社現代新書)
によって 藤井 直敬
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内容紹介 「ソーシャルブレインズ」は、「社会脳」と訳される、いまもっとも注目のキーワードです。世の中には、人の数だけ脳があります。複数の脳がやりとりをすることで、人間関係や社会はなりたっています。見方を変えれば、脳は、そのような、他者との関係や社会の中で、初めてその機能を理解できるものです。「ソーシャルブレインズ」とは、そんな「人間関係や社会に組み込まれた状態の脳の機能」のことです。「空気を読んだり、がまんしたり、人とつきあう」脳の機能です。これは、専門家でなくても自然に理解できる考え方です。しかし、これまでの脳科学では、ソーシャルブレインズに着目した研究を行おうとしても、技術的な「研究の壁」に阻まれていました。この壁を破りつつあるのが、著者の藤井直敬氏です。斬新な実験方法の開発を行うと同時に、「脳も社会も、ハブを持つネットワーク構造であり、共通したアプローチで理解できるもの」という考え方から、この新しい分野を切りひらきつつあります。本書は、そんな著者の描いた「ソーシャルブレインズ研究の俯瞰図」であり「脳科学者が何を考えながら研究しているかを率直に綴ったノート」でもあります。やわらかな感性と冴えた知性、そして、毎日出版文化賞(前著『つながる脳』NTT出版)を受賞した魅力的な文章で語る、「新しい脳科学の時代」を告げる入門書です。 内容(「BOOK」データベースより) 「空気を読む」「人とつきあう」脳のしくみとは?「自己と他者の脳が作る社会を前提として、その社会に組み込まれた状態の脳のしくみをとらえる」という考え方。 著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より) 藤井/直敬 1965年、広島生まれ。東北大学医学部卒業。同大医学部眼科学教室にて初期研修後、同大大学院に入学、1997年、博士号取得。1998年よりマサチューセッツ工科大学にて研究員。2004年、帰国。理化学研究所脳科学総合研究センター象徴概念発達研究チームを経て、現在は、同研究所同研究センター適応知性研究チーム・チームリーダー。主要研究テーマは、コミュニケーションと社会脳の神経機構の解明。著書に『つながる脳』(NTT出版、毎日出版文化賞)がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) 続きを見る
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したがって私が何であるかは、その主要な部分において、私が相続しているものである。それは、現在の私にある程度まで現存している特定の過去である―アラスデア・マッキンタイヤ『美徳なき時代』前著の『つながる脳』(NTT出版,09年)において、「つながる」という言葉をキーワードとして脳科学の未開の分野を世に知らしめた藤井直敬博士(理化学研究所)であるが、本書は「脳から社会」若しくは「社会から脳」といった関係性の一般化を試みようとする意欲作である。藤井博士が研究課題として当書の題名ともなっている「ソーシャルブレインズ(社会脳)」とは、端的に言って「自己と他者の脳が作る社会を前提として、その社会に組み込まれた状態の脳の仕組みを捉える」(本書p.16)といった考え方をベースとしている。この「社会と脳」の関わりで鍵となるのが「認知コスト」と「リスペクト」というコンセプトであろう。先ず、「認知コスト」であるが、これはヒトとチンパンジーの脳を比べた場合、重さは4倍近いが血流量は2倍しかなく、「ヒトの脳内エネルギー環境はチンパンジーのそれと比べてはるかに厳しい」(同p.129)状態にあることが関係するらしい。詳しくは当著をみていただくしかないけれど、脳の“節約志向”が一定の社会的なルールや慣習、制度などを生み出すと考えても良いだろう。「認知コスト」の低減が「社会脳」の第一原理なのだ。次に、「リスペクト」という概念である。「リスペクト」とは、日本語に置き換えると“敬意”とか“関心”という言葉になる訳だが、藤井博士は「人が人に与える、母子関係に源を持つような無条件な存在肯定」と規定し、「リスペクトの流れを考えることが、社会の中での個人の幸せの根幹にある」(同p.208)と明言する。私は、この意想を読み知ったとき、昨今の若い母親達による“育児放棄”や“虐待”などを思わずにはいられなかった。彼女らは何故、子供の「存在そのものを無条件で認める」(同p.206)ことが出来なかったのであろうか…。
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